Airtable in ChatGPT完全ガイド2026|「データを見せて」と言うだけで業務が変わる新しいワークフローの作り方
はじめに:「会議の前にAirtableの数字を見せて」と呼びかけるだけで準備が終わる世界
「来週のキャンペーン会議、先月の実績データまとめておいて」 「プロジェクトの進捗状況、ざっくり教えて」
こんな依頼を受けるたびに、Airtableを開き、該当するビューを探し、必要な情報を抽出し、整形して、共有する。この作業に毎回時間を取られていませんか?
2025年12月、Airtableが公式リリースした「Airtable in ChatGPT」により、この「当たり前」が変わりました。
ChatGPTで 「/Airtable」 と入力し、「先月のキャンペーン実績を見せて」と問いかけるだけで、Airtableのデータが即座に呼び出され、分析され、次のアクションまで提案してくれる。そんな世界が、特別なプログラミングや外部サービスなしで実現できるようになったのです。
本記事では 「Airtable in ChatGPT」 について、機能の概要から具体的な活用シナリオ、導入ステップまで徹底解説します。
第1章:Airtable in ChatGPTとは何か
公式ネイティブアプリとしての登場
「Airtable in ChatGPT」は、ChatGPT内からAirtableのデータを直接参照・更新できる公式アプリです。2025年12月、ChatGPTのビジネス向けアプリディレクトリのローンチパートナーとして、Airtableが提供を開始しました。
これまでも、ZapierやMakeなどの外部サービスを介してAirtableとChatGPTを連携させることは可能でした。しかし、今回の「ネイティブアプリ化」により、外部サービスなしでの双方向連携が可能になり、導入障壁が大きく下がりました。
MCP(Model Context Protocol)に基づく設計
Airtable in ChatGPTは、Anthropic社が提唱し業界標準となりつつある Model Context Protocol(MCP) に基づいて構築されています。OpenAIもMCPを正式採用しており、AIアシスタントと外部データソースを安全かつ標準化された方法で接続するための基盤技術です。
MCPに準拠していることで、将来的にはChatGPT以外のAIアシスタント(Claude、Geminiなど)との連携も期待されます。一度Airtable側で設定を整えておけば、複数のAIツールから同じデータにアクセスできる可能性があるのです。
3つの基本機能
- データの参照(Read) ChatGPTの画面から離れずに、Airtableのベースやビューを読み込み、必要なレコードを呼び出して会話に利用できます。
- データの理解・要約(Understand) 呼び出したデータをChatGPTが分析し、傾向の把握、要約、インサイトの抽出を行います。
- データの更新(Update) 会話の中でレコードの値を変更したり、新しい情報を登録したりする「インチャット更新」が可能です。ツール間の行き来が大幅に削減されます。
利用条件
- Airtable側:無料プランを含む全プランで利用可能
- ChatGPT側:無料プランを含む全プランで利用可能
- 必要な権限:対象ベースの編集権限があれば誰でも使用可能
つまり、すでにAirtableとChatGPTを使っている企業であれば、追加コストなしですぐに試すことができます。
注意: ChatGPT無料プランには利用回数の制限(GPT-4oは5時間あたり10メッセージ程度)があります。頻繁にAirtableデータを参照する業務利用では、Plusプラン以上の検討をお勧めします。
第2章:なぜ今「データ×会話AI」なのか

「画面だらけ」問題の深刻化
2020年代後半、ノーコードツールやSaaSの普及により、業務で使うツールの数は増え続けています。複数の調査によれば、平均的なナレッジワーカーは1日に10以上のアプリケーションを切り替えながら仕事をしており、1日あたり25回以上のコンテキストスイッチが発生しているとされます。
この「コンテキストスイッチ」(ツール間の切り替え)は、集中力の低下と時間のロスを引き起こします。研究によれば、一度中断した作業に再び集中するまでに平均約9.5分かかり、生産性が最大40%低下するという報告もあります。
- Airtableでデータを確認
- Excelにエクスポートして分析
- ChatGPTにコピペして要約を依頼
- 結果をSlackで共有
- Airtableに戻って更新
このような「ツールの行き来」が、1日に何十回と発生しているのが現実です。
会話UIによる統合という解
Airtable in ChatGPTは、この問題に対する一つの解です。
会話という自然なインターフェースを中心に、「データを見る→意味づける→アクションに落とす」という一連の流れを1つの画面で完結させることができます。
これは単なる「便利機能」ではなく、「業務の進め方そのものを変える」パラダイムシフトです。
第3章:既存の連携手段との違い
Zapier・Make・DataFetcherとの比較
AirtableとChatGPT(OpenAI)の連携は、すでにいくつかの方法で実現されていました。それぞれの特徴を整理します。
| 連携方法 | 特徴 | 適したユースケース |
| Zapier | トリガーベースの自動化 | 「新しいレコードが追加されたら自動で○○する」 |
| Make | 複雑なワークフローの構築 | 複数条件による分岐処理 |
| DataFetcher | AIによるデータ拡張 | レコードに自動でAI生成コンテンツを追加 |
| Airtable in ChatGPT | 会話ベースの意思決定支援 | 「今の状況を教えて」「これを更新して」 |
「自動化」ではなく「対話」
従来のツールは「トリガーベースの自動化」が中心でした。「Aがあったら、Bをする」というルールを事前に設定しておく必要があります。
一方、Airtable in ChatGPTは「会話ベースの意思決定支援」です。その場の状況に応じて、「今知りたいこと」「今やりたいこと」を自然言語で伝えるだけで、データの参照から更新まで完結します。
この違いは、「定型業務の自動化」と「非定型業務の効率化」の違いとも言えます。両方を組み合わせることで、より強力なワークフローが構築できます。
第4章:中小企業・プロジェクト現場でのユースケース
基本的な操作方法
Airtable in ChatGPTを使う際は、ChatGPTのチャット画面で /Airtable と入力してアプリを呼び出し、その後に自然言語で指示を出します。以下のユースケースでは、この操作を前提としています。
ユースケース1:マーケティング施策の分析と企画
シナリオ: 過去のキャンペーン実績をAirtableで管理している企業で、次のキャンペーン企画を検討する場面。
従来のワークフロー:
- Airtableを開いてキャンペーン実績を確認
- Excelにエクスポートして集計・分析
- ChatGPTに結果を入力して考察を依頼
- 提案をドキュメントにまとめる
Airtable in ChatGPT活用後:
ユースケース2:プロジェクト進捗管理
シナリオ: Web制作プロジェクトの進捗をAirtableで管理しており、週次の進捗確認を行う場面。
活用例:
/Airtable 今週締め切りのタスクで未完了のものを教えて
→ 該当タスクの一覧が表示
遅延しそうなタスクはある?理由も推測して
→ 進捗率や担当者の状況からリスク分析
Aさんの『デザイン確認』タスクを明日締め切りに変更して
→ Airtable上のレコードが更新される
ユースケース3:カスタマーサポートのナレッジ管理
シナリオ: 顧客からの問い合わせ履歴をAirtableで管理しており、FAQ記事を作成する場面。
活用例:
/Airtable 先月のサポート問い合わせで多かった質問カテゴリは?
→ 集計結果が表示
『請求書の再発行』に関する問い合わせへの標準回答案を作って
→ 過去の対応履歴を参照した回答案が生成
これを『FAQ候補』として登録して
→ Airtableに新規レコードとして保存
ユースケース4:イベント企画・運営管理
シナリオ: セミナーやイベントの参加者・タスク・予算をAirtableで管理している場面。
活用例:
/Airtable 来月のセミナーの参加申込状況を教えて
→ 申込数、定員に対する充足率などが表示
昨年の同時期と比較してどう?
→ 前年データとの比較分析
申込者リストから、過去に複数回参加している人を抽出して
→ リピーター候補のリストが生成
第5章:導入ステップ
ステップ1:事前準備
Airtable側:
- Airtableアカウントを作成(無料プラン可)
- 連携したいベースを作成・整理
- 権限設定の確認(編集権限が必要)
ChatGPT側:
- ChatGPTアカウントを作成(無料プラン可、ただし利用回数制限あり)
- ChatGPTのアプリディレクトリにアクセス
ステップ2:Airtableアプリの有効化
- ChatGPTの画面で「Airtable」アプリを検索
- 「有効化」をクリック
- Airtableアカウントとの連携を承認
ステップ3:最初のベースを接続
推奨:閲覧専用のベースから始める
最初は、誤って重要なデータを変更してしまうリスクを避けるため、以下のアプローチをお勧めします。
- テスト用のベースを作成するか、本番データのコピーを作成
- まずは「参照」機能のみを使って操作に慣れる
- 十分に理解してから「更新」機能を活用
ステップ4:権限設計のポイント
- ChatGPTからアクセスできるのは、連携したAirtableアカウントが編集権限を持つベースのみ
- チームで利用する場合は、各メンバーが自分のAirtableアカウントで連携する必要がある
- 機密性の高いデータを含むベースは、必要に応じて別アカウントで管理する
第6章:セキュリティと権限管理について
よくある懸念と対応
Q:会社のデータがChatGPT側に学習されてしまうのでは?
A:ChatGPT for Businessなどのビジネスプランでは、ユーザーのデータがモデルの学習に使用されない設定になっています。OpenAI公式でも「No training on data」と明記されています。ただし、利用規約やプライバシーポリシーは最新のものを確認することをお勧めします。
Q:誰でも会社のAirtableデータにアクセスできてしまうのでは?
A:ChatGPTからアクセスできるのは、各ユーザーが連携した自分のAirtableアカウントの権限範囲内に限られます。Airtable側でアクセス権限のないベースには、ChatGPT経由でもアクセスできません。
Q:誤ってデータを変更・削除してしまうリスクは?
A:Airtable側でレコードの変更履歴が保存されるため、誤操作があっても復元が可能です。また、特に重要なベースは、あらかじめ「閲覧専用」の権限で共有し、更新は別のアカウントから行う運用も有効です。
第7章:「会話型UI」がプロジェクトマネジメントを変える
ツール紹介を超えて:働き方の変革
Airtable in ChatGPTは、単なる「便利な機能」ではありません。これは、「人とプロジェクトの関係性」を変える可能性を持っています。
従来、プロジェクトの状況を把握するには、ダッシュボードを見る、レポートを読む、メンバーに聞く、といったアクションが必要でした。これらはすべて「能動的な情報取得」であり、忙しいときには後回しにされがちです。
会話型UIは、この構造を変えます。
「ちょっと聞いてみる」というハードルの低さが、情報へのアクセス頻度を高め、結果として「状況を把握していない」という状態を減らします。
MCP標準化がもたらす未来
Airtable in ChatGPTがMCP(Model Context Protocol)に基づいて構築されていることは、単なる技術的な詳細ではありません。
MCPが業界標準として普及すれば、同じAirtableのデータに対して、ChatGPT、Claude、Geminiなど複数のAIアシスタントからアクセスできるようになる可能性があります。「どのAIを使うか」ではなく「どのデータをどう活用するか」が重要になる時代が近づいています。
プロジェクトマネージャーの役割の変化
AIがデータの集計・分析・要約を担うようになると、プロジェクトマネージャーの役割はどう変わるでしょうか?
減る業務:
- 定型的なレポート作成
- データの集計・転記
- ステータス確認のための会議
増える業務:
- AIへの適切な問いかけ(プロンプト設計)
- AIの分析結果に基づく意思決定
- チームメンバーとの対話・コーチング
つまり、「情報を集める」仕事から「判断する」仕事へのシフトが加速します。
まとめ:「データを見せて」から始まる新しいワークフロー
Airtable in ChatGPTは、業務データと対話型AIを一体化する、新しいワークフローの入り口です。
本記事のポイント:
- ネイティブ連携の登場:外部サービスなしで、ChatGPTから直接Airtableのデータを参照・更新できるようになった
- MCP標準に基づく設計:業界標準のプロトコルに準拠しており、将来的な拡張性が期待できる
- 「自動化」ではなく「対話」:トリガーベースの自動化とは異なり、その場の状況に応じた柔軟な操作が可能
- 全プランで利用可能:追加コストなしで試せるため、導入障壁が低い(ただし無料プランには利用回数制限あり)
- 働き方の変革:ツールの便利さを超えて、「情報へのアクセス頻度」と「意思決定のスピード」を変える可能性
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、業務効率化のヒントになれば幸いです。
※この記事は、信濃ロボティクスイノベーションズ合同会社の開発するマルチAIアシスタント「secondbrain」を利用して執筆しています。
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